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SUPER GT RACE REPORT

2020年 SUPER GT 第8戦 FUJI <決勝>

2020年11月29日(日) Final 決勝
ZENT GR SUPRA#38 立川祐路/石浦宏明
決勝結果 8位
< 決勝 > 天候:曇|コース状況:ドライ

 

2020年 SUPER GT 第8戦 FUJI いよいよ迎えた2020年のSUPER GT最終戦。泣いても笑っても、この一戦が今季のラスト。良いかたちでシーズンを締めくくるためにも、好結果で終えたい。TGR TEAM ZENT CERUMOは気温13度、路面温度11度というコンディションのなか、第8戦富士の決勝レースのスタートを迎えた。

 冷え込みもあり、3周に渡って行われたフォーメーションラップを経て切られたスタートで、ZENT GR Supraのスタートドライバーを務めた立川祐路は、ウォームアップの早さを活かし怒涛のオープニングラップをみせた#23 GT-Rにかわされるものの、5番手で1周目を終える。序盤、2番手から4番手までを占めたGR Supra勢の一角を担った立川は、5周目に#39 GR Supraが接触の影響で後退すると4番手に順位を戻すことに成功する。

 しかし5周を過ぎる頃になると、立川は異変を感じはじめていた。ZENT GR Supraのフィーリング自体は良いものだったが、タイヤの表面にコース上のタイヤカスがくっついてしまい、大きな振動やグリップダウンを招く『ピックアップ』と呼ばれる症状が出はじめてしまったのだ。このピックアップは、寒い時季のレースで多く発生する。

2020年 SUPER GT 第8戦 FUJI ピックアップの症状により急激にペースが落ちはじめてしまった立川は、なんとかポジションを死守していたものの、10周目に#17 NSX-GT、#100 NSX-GTに相次いでかわされてしまい6番手に順位を落としてしまう。その後も立川の苦闘は続き、15周目には#12 GT-Rに、16周目には#14 GR Supraにもオーバーテイクを許してしまった。17周目にはペースが落ちた#23 GT-Rこそかわし7番手に順位を戻したが、やはり苦しい状況は変わらなかった。

 このまま苦戦のなかでレースを続けていても、傷口は広がる一方だ。TGR TEAM ZENT CERUMOは23周を終え立川をピットに戻すことに決め、さらに前半スティントとは異なるタイヤを装着するべく、バックアップ用のタイヤを履くことに決める。ただ、本来タイヤは一度使用する“皮むき”と呼ばれる作業を経てレースに使用するが、バックアップ用ということもありその過程を経ていなかった。

 ピットアウトした石浦は、皮むきしていないタイヤということもありウォームアップに苦戦することになるが、そのテクニックでタイヤに熱を入れると、8番手から追い上げを開始する。32周目には7番手に浮上すると、前をいく#12 GT-Rに狙いを定め、39周目にこれをオーバーテイク。さらにタイヤ無交換作戦を採っていた#8 NSX-GTに接近し、41周目にオーバーテイク。ふたたび5番手に順位を戻した。

 

2020年 SUPER GT 第8戦 FUJI しかし、終盤に向けてさらなる追撃に期待がかかるZENT GR Supraだったが、レースも終盤に近づきはじめると、前半の立川同様、ふたたびピックアップの症状が出はじめてしまった。こうなるとペースは急激に落ちてしまう。50周目、一度は抜いた#8 NSX-GTに先行を許し、さらに52周目のTGRコーナーでは、#3 GT-Rにもオーバーテイクされてしまった。

 このピックアップは、タイヤ表面についたカスが落ちれば症状は治まるが、ZENT GR Supraの症状は大きく、なかなかペースを戻すことができない。55周目、#12 GT-Rにもかわされてしまい、なんとか65周のレースを走りきったものの、全力で臨んだ今季最終戦は、8位という悔しい結果に終わってしまった。

 レースを通じてピックアップに悩まされ続ける結果となったZENT GR Supra。もちろん他車にも症状は出ていたが、ZENT GR Supraのものは特に大きかったのが苦戦の原因だ。また、本来得意としていたはずの富士では、今季4戦すべてで苦しむシーズンになってしまった。

 GR Supraの初年度で、まさかの悔しいシーズンとなったTGR TEAM ZENT CERUMO。2020年、ふたたび体制を整え、チームは捲土重来を期する。

ドライバー/立川 祐路
「ペースが上げられなかった原因は、タイヤのピックアップです。フロントタイヤがまともに走れる状況ではないほどになってしまい、ずっと苦しいレースになってしまいました。今季最終戦だったのでなんとか良いレースにしたかったのですが、結果的にはすごく残念ですね。なんとかピットウインドウがオープンするまで繋ぎ、後半の石浦選手に託しましたが、追い上げてはくれたものの、同様の症状に見舞われ苦しいレースになりました。とはいえ、全車がそうなっているわけではないので、来季に向けて原因を究明し、また得意なはずだった富士での速さを取り戻さないと戦えるようにはならないので、来季に向けてしっかり準備したいと思います。

ドライバー/石浦 宏明
「前半スティントの立川選手が苦しそうな展開だったので、バックアップ用のタイヤを急遽投入し、いちかばちかの勝負をしようとコースインしました。コースに入ってからすぐは苦しい状況でしたが、その後は2台をかわすことができ、前を追う展開になっていました。しかし途中からピックアップがひどくなり、GT300の車両と交錯したときに大きなピックアップを拾ってしまいました。その後はペースも苦しいままになり、立川選手のときと同じような状況になりました。今季は富士での速さが足りないところが大きく、テストもできずひっくり返すことはできませんでした。これからシーズンオフを迎えますが、苦しかった部分をしっかり改善したいと思います。応援してくださった皆さんに良いところをみせられず、悔しいレースになってしまいましたね」

監督/村田 淳一
「残念ながら完敗です。今季はシーズンの最後まで良いところをみせることができませんでしたが、近年これほど苦しんだシーズンはないほどでした。もちろんその分、悪いときのデータはとれていましたし、最終戦に向けて膿を出し切って臨んだつもりでしたが、ピックアップに苦しめられてしまいました。もちろん他車もそうですが、特に苦しめられた印象ですね。我々が足りなかった部分もありますし、こういった結果を重く受け止め、チーム全体を再構築していきたいと思います。またGR Supraの開発陣も挑戦者として努力してくれると思っています。ドライバーふたりにもフラストレーションが溜まるレースをさせてしまいましたが、これを糧として来季に繋げたいと思います。今シーズン、TGR TEAM ZENT CERUMOにたくさんのご声援をありがとうございました」