1. HOME > 
  2. SUPER GT > 
  3. 2009年第2戦

SUPER GT RACE REPORT

2009年 SUPER GT 第2戦 KEIHIN SUZUKA 2&4 RACE <決勝>

2009年4月19日(日) Final 決勝
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
決勝結果:1位
<決勝> 天候:晴れ|コース状況:ドライ

2009年 SUPER GT 第2戦 KEIHIN SUZUKA 2&4 RACE <決勝>

 開幕戦とは異なり、気温18℃と朝から爽やかな快晴となった日曜の鈴鹿。午前8時50分から行なわれたフリー走行では、ライアン、立川が交代で#38 ZENT CERUMO SC430のステアリングを握り、決勝に向けたセットアップの確認など、いわば最終調整を行なうこととなったが、ここでのベストタイムは1分55秒767でポジションは3番手に。このセッションでトップタイムを奪った#6 ENEOS SC430のタイムが1分55秒615ということで、#38 ZENT CERUMO SC430とのタイム差は僅かとあって、チームにもドライバーにも焦りの色はない。#38 ZENT CERUMO SC430はまさに万全の体制で午後の決勝に臨むこととなった。 ピットウォークを経て、正午過ぎにはスーパーバイクの決勝レースが終わり、いよいよスーパーGTのスタート進行が午後1時05分から始まった。#38 ZENT CERUMO SC430のスタートドライバーを務めるのはライアン。ライアンはウォームアップを終えると、セカンドグリッドにマシンを止める。スタート時刻である午後2時が近づくと、いったんコクピットを離れていたライアンが再び#38 ZENT CERUMO SC430に乗り込み、周囲には加藤エンジニア、メカニックたちが並ぶ。コクピットの中からテレビカメラに力強くサムアップを見せるライアン。 気温23℃、路面温度38℃となった午後2時、ついにフォーメイションがスタート。PPの#1 MOTUL AUTECH GT-Rに続いて、#38 ZENT CERUMO SC430も52周後のゴールを目指して動き始める。ウェービングしながらタイヤを温めるライアン。隊列がホームストレートに戻るとGTマシンたちが加速、ついに決勝がスタートした。

2009年 SUPER GT 第2戦 KEIHIN SUZUKA 2&4 RACE <決勝> 無理せずセーフティーにスタートを切ったライアンは、序盤からトップの#1 MOTUL AUTECH GT-Rを追走する展開。逃げようとする#1 MOTUL AUTECH GT-Rの背後に食らい付き、オーバーテイクのチャンスを伺うが、敵もなかなか隙を見せず、ペース的には上回るパフォーマンスを発揮できるものの、ライアンはオーバーテイクできぬまま、コンマ数秒差で前を追うマッチレースの様相となった。

 ところが6周目あたりから周回遅れが出始めると、運悪くライアンの前に周回遅れが挟まるなどしてギャップが拡大してしまうと同時に、シフトダウン時に時折うまく落ちない状況が発生。「ここはリスクを避けるしかない」とライアンは無理せずペースを下げ、背後に#36 PETRONAS TOM’S SC430を従えながら、2番手をキープする形に。

 ライアンはそのまま2番手を守りながら、27周終了時にピットイン。立川へとステアリングを託すこととなるが、ここで#38 ZENT CERUMO SC430はピットの作業時間がライバル陣営よりやや長かったことからポジションダウンを余儀なくされ、#36 PETRONAS TOM’S SC430、#12 IMPUL カルソニック GT-Rの先行を許してしまう。

 しかし後半を引き継いだ立川は諦めることなく追い上げを開始。30周目には130Rのアウト側から#100 RAYBRIG NSXをパスして5番手に浮上すると、前を行く#12 IMPUL カルソニック GT-Rとのギャップを削り取っていく。コンマ数秒差での3位争いを続けた立川は、接近戦ゆえに時折ダウンフォースを失ってバランスを崩しながらも諦めず、ついに残り10周となった43周目、スプーンコーナーへの進入で#12 IMPUL カルソニック GT-Rをかわし、ついに表彰台圏内の3位にまで復帰を果たす。

 これで前には#1 MOTUL AUTECH GT-R、#36 PETRONAS TOM’S SC430の2台しかいなくなったわけだが、立川は手綱を緩めず猛プッシュ。2位の#36 PETRONAS TOM'S SC430に迫っていくが、なんと47周目の西コースでトップの#1 MOTUL AUTECH GT-Rが突如ペースダウン。スプーンで#36 PETRONAS TOM'S SC430がこれをかわすと、続いて立川もバックストレートでアウトから#1 MOTUL AUTECH GT-Rに並びかけようとするが、#1 MOTUL AUTECH GT-Rはこれに気づかなかったか、アウト側に寄って行ってしまい、立川は押し出される格好で右側2輪をダートに落とす。モニターを食い入るように見つめながら、息をのむスタッフたち。しかし、立川はこれにひるまずシケインで#1 MOTUL AUTECH GT-Rをオーバーテイクし2位に。

2009年 SUPER GT 第2戦 KEIHIN SUZUKA 2&4 RACE <決勝> さらに前を行く#36 PETRONAS TOM'S SC430がGT300クラスのマシンに詰まった隙を逃さなかった立川は、48周目のシケインで#36 PETRONAS TOM'S SC430に勝負を挑み、シケインで並走しながらもこれをパス、ついにトップに躍り出る。ところが、このバトルの後方では数台のマシンが絡む多重クラッシュがシケインで発生したため、セーフティーカーが導入されることに。

 ラスト1周でのリスタートとなるかと思われたが、セーフティーカーのルーフ灯は最後まで消えることはなく、セーフティーカーランのままレースは52周を消化。劇的な大逆転勝利を飾ったものの、「ゴールの時にはコース上にオフィシャルがたくさん出てきていて、ガッツポーズで喜んでいいのかどうか良く分からなかった」と苦笑いした立川を、コンクリートウォールから竹内監督、ライアン、加藤エンジニアらスタッフが笑顔で出迎える。表彰台の頂点に立つ立川、ライアン。こうして#38 ZENT CERUMO SC430は、2戦目にして今季初優勝を飾ったのだった。

 

ドライバー/立川 祐路
「トップに立つことしか考えずタイヤをセーブしながら走っていましたが、相手が周回遅れに詰まった瞬間を活かして、うまく130Rやシケインで順位を上げられました。最後は36号車との競り合いになったのですが、軽く接触しながらも前に出ることができました。西ストレートで押し出されたときは気合いが入っていたので、アクセルを緩めなかったのですが、ちょっと怖かったかな(笑)。でも勝てて良かったです!」

ドライバー/リチャード・ライアン
「こんな結末は誰も予想できなかったね! スタート前にはもっとトップのGT-Rと優勝を争える力があると思っていたんだけれど、バックマーカーに邪魔されたり、シフトダウンがしにくくなったりして、結果的に安全策を採ったんだ。36号車も迫ってきていたしね。クルマは週末を通じて良かったので、少しピットストップでロスしてしまったものの表彰台までは挽回できるんじゃないかと思っていたけれど、まさか優勝とは! 立川がよくリカバーしてくれたよ」

監督/竹内 浩典
「もっと1号車が苦しむと思ったんですが、バックマーカーの出るタイミングで差を拡げられ、序盤は辛かったですね。立川は追い上げてくれると信じていましたが、ピットで遅れた分、仕事量が多かったかな(笑)。このあたりは今後の課題になるかもしれません。終盤は予期せぬ展開でしたが、ああいう局面では相変わらず立川にはキレがありますね。岡山では良い流れを雨で流していたので、ここで取り返せて良かったです。次の富士も頑張りますよ!」