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SUPER GT RACE REPORT

2010年 SUPER GT 第5戦 SUGO <予選>

2010年7月24日(土) Qualify 予選
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
公式予選総合結果9位(1分17秒396)
天候:晴れ|コース状況:ドライ

2010年 SUPER GT 第5戦 SUGO <予選> 海外ラウンドのセパンを6位で終えたLEXUS TEAM ZENT CERUMO。約2カ月半ぶりに舞台を再び国内に移して迎えた今大会は、みちのく菅生での開催。スペシャルラウンドを除くシリーズ全8戦中、前半戦の4戦を既に終え、第5ラウンドとなる今回のレースからシリーズ後半戦に突入するということで、トップから僅か10ポイント差のランキング6位につけているタイトル争いを鑑み、高木監督以下、チームスタッフたちは新たなモチベーションを持って菅生に向かうこととなった。

 全長3.704km、アップダウンに富んだ山岳コースである菅生だが、東北・宮城県にあるとはいえ、季節は7月末。夏休みに入って最初の週末となるだけに、金曜の設営時から気温は35℃を超える猛暑となる中、スタッフたちが汗を滴らせながらのピット設営を終えるころ、立川とライアンもサーキット入り。Tシャツにハーフパンツといういでたちのライアンは「めちゃくちゃ暑いね! セパンとどちらが暑いかな」と苦笑いを見せたが、二人はミーティングやブリーフィングをこなし、万全の体制で土曜の公式練習に臨んだ。

 土曜午前9時に始まった公式練習。朝8時の段階で既に気温は30℃を超え、路面温度も40℃オーバーという前日同様の暑さに見舞われる中、セッションがスタートしたが、#38 ZENT CERUMO SC430はいつものように序盤はピットで待機。開始14分のところで、満を持してライアンがステアリングを握った#38 ZENT CERUMO SC430がピットを離れた。

 コースに出たライアンは、まずは1分28秒157というゆっくりとしたペースで周回。ピットウォールでモニターを見つめる高木監督もまだ余裕の表情で、テレビカメラに向けて笑顔で手を振る。

 計測4周目に1分18秒784にタイムを上げて8番手につけたライアンは、さらに計測5周目に1分18秒131にタイムアップし、2番手に。トップの#23 MOTUL AUTECH GT-Rは17秒台をマークしているものの、#38 ZENT CERUMO SC430もまずまずの滑り出しを見せる。

2010年 SUPER GT 第5戦 SUGO <予選> いったんピットイン後、再びコースに戻ったライアンは、ピットイン&アウトを行いながら、マシンのセットアップを進めて行く。セッションが1時間を経過した時点でも、ライアンのマークした1分18秒131で4番手につけていた#38 ZENT CERUMO SC430。60kgものウエイトハンデを搭載しながらも、まずまずのパフォーマンスを見せていたが、好事魔多し。なんと、午前10時12分、高速のSPコーナー立ち上がりでコースオフを喫したライアンの駆る#38 ZENT CERUMO SC430は、縁石で跳ね、フロントのフロア部分を強打してしまう。

 このアクシデント直後、マシンに異変を感じたライアンはスロー走行しながらピットへ。すぐさまメカニックたちがマシンのダメージをチェックするが、残念ながら走行継続は難しいということとなり、ライアンはコクピットを離れる。懸命な修復作業を続けるスタッフたちだったが、このセッション中の作業終了は叶わず。立川がこのセッションで#38 ZENT CERUMO SC430をドライブすることはなく、チームはこのまま6番手というポジションでこのセッションを終えることとなってしまった。

 インターバルも炎天下で続けられた必死の作業の甲斐あって、応急処置を終えた#38 ZENT CERUMO SC430。チームは無事に午後零時45分からの公式予選1回目を迎えることとなった。今大会、久々の予選アタッカーを務めるライアンがコクピットに収まり、セッション開始と同時にコースに飛び出していく。

 最初の25分間はGT300とGT500の混走時間帯とあって、まずは両ドライバーの基準タイムクリアが課題となるが、ラスト10分間のGT500占有時間帯に向けた予選セットアップの確認など、やるべきことは多い。しかし、開始早々に1分18秒540をたたき出したライアンは、早くもタイミングモニターのトップにゼッケン38を押し上げる。その後、いったんピットでセットアップに修正を加えたライアンは、再びピットアウト。ここでマシンのフィーリングを確認したライアンは、混走時間の残り10分となったところでいったんステアリングを立川に託す。コースに出た立川は、計測2周で1分19秒760をマーク、難なく基準タイムをクリアするとピットイン。再び#38 ZENT CERUMO SC430にはライアンが乗り込むが、直後にGT300マシンがインフィールドでストップ。このため、セッションは赤旗中断となるなど、最終的にGT500の占有時間帯は当初の予定から20分遅れた、午後1時40分から始まることとなった。

 夕方に控えるスーパーラップ進出のためには8番手以内に入っていなければならない#38 ZENT CERUMO SC430。混走セッションでは7番手につけたが、この10分間で各陣営ともにタイムを大幅に上げてくることが予想されるだけに、ライアンのアタックに期待が掛かった。

 ピットウォールのサインガードで高木監督、立川らが見守る中、残り7分となったところでコースインしたライアンだったが、タイム計測に入ったところで、インフィールドで#35 MJ KRAFT SC430が駆動系のトラブルでグリーンにストップ。まずは1分18秒078にタイムを上げたライアンだったが、この区間で振られる黄旗に惑わされたか、翌周は1分17秒386とタイムアップも、この時点でポジションは6番手。

 チェッカーフラッグ提示直後、ライバルマシンのタイムアップによってさらにポジションを下げ、9番手となった#38 ZENT CERUMO SC430。チームスタッフ全員が固唾を呑んでライアンのファイナルアタックを見守ったが、気合が空回りしたか、ライアンは再びSPアウトコーナー立ち上がりでスピンを喫してしまい、万事休す。ピットウォールの立川もモニターを睨んで悔しそうな表情を見せたが、惜しくもタイムアップのならなかった#38 ZENT CERUMO SC430は、スーパーラップ進出権の8番手タイムに僅か1000分の1秒届かず、9番手に。僅差でスーパーラップ進出を逃したLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、明日の決勝を9番手からスタートすることとなった。

ドライバー/立川祐路
「今日はちょっと流れが悪かったかもしれませんね。今回はリチャードがアタックをするということで、僕に関してはあまり乗っていないこともあってクルマの状況も把握できていませんが、朝のダメージが完璧には直り切っていなかった中で、リチャードの予選アタックも思うように行かなかったのかもしれません。明日のフリー走行はいつもより長く、45分間あるので、そこできっちりと決勝に向けてクルマをチェックして、レースでは追い上げたいと思います。この菅生では、一昨年最後尾から3位に入った経験がありますから、その再現を狙います」

ドライバー/リチャード・ライアン
「残念な一日になってしまった。今回は僕がアタックするということで、自分自身も楽しみにしていたけれど、このところの傾向として、気温が高くなってくるとアンダーステア傾向があって、それが今日も現れたような感じだった。特にコースオフしたセクター3のあたりや、バックストレッチエンドではクルマが曲がらず、思ったようなアタックが出来なくてスーパーラップ進出を逃してしまったんだ。スーパーラップに出られないとは予想もしていなかったし、とても悔しいけれど、予選は予選。決勝ではまたいろいろな要素が絡んでくるだろうし、僕達のクルマが決勝では良いパフォーマンスを示してくれると信じている」

監督/高木虎之介
「今日はリチャードで予選をやってみましたが、残念ながらスーパーラップには残れませんでした。飛び出してしまったことで、クルマがちょっとダメージを受けているようですが、明日までには直っているでしょうし、終わったことはしょうがないですから、後は決勝に向けてきちんとクルマを作るしかありません。不安がないわけではありませんが、予選4番手以降のタイム差は0.1秒ほどですから、クルマのポテンシャルはあるはず。セパンのようなペナルティーを避け、ピット作業をしっかりとこなせば上位進出を狙えると信じています」