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SUPER GT RACE REPORT

2012年 SUPER GT 第1戦 OKAYAMA <決勝>

2012年4月1日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 1位
<決勝> 天候:晴れ|コース状況:ドライ

2012年 SUPER GT 第1戦 OKAYAMA <決勝> 土曜に行われたノックダウン方式の公式予選では Q3 に進出、アタック中の立川が前のマシンに追いつ き接触してしまうというアクシデントが起こるも、見事ポ ールポジションを獲得した#38 ZENT CERUMO SC430。久々のポールポジションから臨む決勝にチ ーム内のモチベーションはいやが上にも高まったが、 土曜の公式練習が雤となったこともあり、ドライでのセ ットアップやタイヤの消耗度合いなど、決勝を前に確 認しなければならない項目も多く、午前 8 時 20 分から のフリー走行は LEXUS TEAM ZENT CERUMO にとって非常に重要なセッションとなった。

 走行開始の 20 分ほど前には霧雤がパラつき、前日の予選のような気まぐれな天候がスタッフの脳裏をよぎったものの、天候はすぐに回復し朝日が差す中ドライコンディションでのセッションがスタートした。

 開始と同時にコースインした#38 ZENT CERUMO SC430 は、平手のドライブ。アウト&インを行った後、再び ピットアウトした平手は連続周回に入り、6 周目には 1 分 27 秒 115 をマーク。徐々にペースアップした平手は、 翌周に 1 分 24 秒 812 として 6 番手につけると、25 秒前後のラップを刻んで再びピットへ。決勝を想定してのセットアップ修正を行うと、再び連続周回をこなす。

 午前 8 時 54 分、今度は立川がステアリングを握ってコースイン。5 分後には 1 分 23 秒 700 にまでタイムを上げた立川は#38 ZENT CERUMO SC430 をモニターのトップに押し上げると、その後は 25〜26 秒台のまずま ずのペースで周回を重ね、そのまま 45 分のセッションはチェッカーを迎える。サーキットサファリの時間帯をも有効 に活用しながら決勝を想定したセットアップとタイヤ評価を行った#38 ZENT CERUMO SC430。マシンを降りた 立川も「タイヤの消耗は想定範囲内。これなら決勝もなんとか行けるのでは」と決勝に向けた自信を口にするなど、 LEXUS TEAM ZENT CERUMO はすべての準備を整えて、午後 2 時の決勝スタートに臨むこととなった。

 午後零時 55 分に始まった 8 分間のウォームアップ。#38 ZENT CERUMO SC430 はスタートドライバーを務 める平手の手によってコースインし、最後のフィーリングをチェックするといったんピットイン。ほどなくしてピット出 口が開き、ダミーグリッドへの試走が始まったが、平手の乗る#38 ZENT CERUMO SC430 はピット出口で留め 置かれている。両クラスのポールシッターは、全車がグリッドに着いた後、その隊列の作った花道を通って最前列 に向かうのだ。

 GT300のポールシッターである#911 エンドレスTAISANPORSCHEに続き、大トリを務める形でコースインし た#38 ZENT CERUMO SC430 は、午後 1 時 18 分にダミーグリッド最前列にマシンを止めた。

 華やかな雰囲気のスタート進行が進む中、落ち着いたリラックスした表情を浮かべる高木監督と立川、平手。瞬 く間に時間は過ぎ、ついに午後 2 時に平手のドライブで決勝のローリングがスタートした。

2012年 SUPER GT 第1戦 OKAYAMA <決勝> 気温 10°C、路面温度 15°Cというコンディションでスタートした決勝。ソフト系のタイヤをチョイスしていたこともあ り、「温まりの良さを活かしてスタートから逃げよう」と考えていた平手は、その言葉通りグリーンシグナルが点灯す ると同時に好スタート。接触や競り合いながら 1 コーナーをクリアする後続の混乱をよそに、オープニングラップで 早くも 2 番手以下を引き離して行く。

 1 周目で 1 秒 3 ものギャップを築いた平手は、#38 ZENT CERUMO SC430 にムチを入れて序盤にプッシュ。 2 番手に浮上した#36 PETRONAS TOM'S SC430 を引き離して行く。しかし、6 周目あたりから早くもバックマ ーカーが現れ始め、7 周目に 2 番手に浮上した#23 MOTUL AUTECH GT-R とのギャップは思うように拡がらな い。

 それでも 16 周目には 4 秒 8 にまでマージンを奪った平手だったが、ソフト系のタイヤを選んでいたことで徐々に タイヤの消耗が始まって来てしまう。スタート前から予想していた状況ではあったものの、このあたりから平手はじ りじりと#23 MOTUL AUTECH GT-R に間合いを詰められて行くことに。

 23 周目にはついにその差が 1 秒を切り、ピット内のスタッフにも緊張感が漂って来たが平手は粘り強く周回を重 ね、トップを死守して行く。

 しかし、ついに 33 周目のアトウッドカーブ立ち上がりで#23 MOTUL AUTECH GT-R に並びかけられた#38 ZENT CERUMO SC430 は、続くヘアピンへのアプローチでインをこじ開けられ、#23 MOTUL AUTECH GT-R の後塵を拝することに。トップを明け渡してしまった平手だが、その後も諦める事無くギャップを拡大されないよう、 #23 MOTUL AUTECH GT-R を追走していく。

 そして 35 周終了時、LEXUS TEAM ZENT CERUMO は平手をピットに呼び寄せ、立川に後半スティントを託す。 高木監督以下、チームは立川により硬めのミディアムタ イヤを履かせ、残る 47 周というロングスティントでの逆転 を目指すこととなった。

    

 この動きを見て、トップを走っていた#23 MOTUL AUTECH GT-R、さらには 3 番手につけていた#100 RAYBRIG HSV-010 も翌周にピットイン。ソフトより温ま り難いミディアムタイヤながら、アウトラップに必死にプッ シュした立川だったが、ここで#100 RAYBRIG HSV-010 にも先行され事実上の 3 番手にドロップしてしまう。

 しかし、同様に#23 MOTUL AUTECH GT-R もタイヤの温まりに苦戦。この機を逃さず、立川は#100 RAYBRIG HSV-010 に続いて 39 周目に入るホームストレートで#23 MOTUL AUTECH GT-R をパス。逃げる #100 RAYBRIG HSV-010 を追いかけて行く。

 タイヤ交換を引っ張ったマシンがピットインしたことで、44 周目には#100 RAYBRIG HSV-010 がトップ、#38 ZENT CERUMO SC430 は 2 番手に浮上することとなるが、この時点で既に立川は#100 RAYBRIG HSV-010 をコンマ 7 秒差の射程距離に収めている状態。なんとか立川を引き離そうとプッシュする#100 RAYBRIG HSV-010 に対し、周回遅れの巡り合わせのタイミングが悪かったこともあり一時は4秒ほどギャップを拡げられてしまった立川だったが、逆に相手が周回遅れに詰まったところで間合いを詰め、64周目には再びコンマ5秒差に。

 仕掛けるタイミングを狙っていた立川は 69 周目、ヘアピン立ち上がりでアウトから並びかけ、続くリボルバーコー ナーの進入でインを奪って逆転に成功しトップの座に返り咲く。サインガードで見守る平手と高木監督にも、思わず ガッツポーズが出る。

 ところが、このまま優勝と思われた終盤、予期せぬドラマが起こる。#100 RAYBRIG HSV-010 よりも速いコー ス前半部分で相次いで周回遅れに行く手を阻まれたことと、ラスト 5 周でタイヤの消耗が始まったことが重なり、立 川の背後に#100 RAYBRIG HSV-010 が再び迫って来たのだ。

 リヤを振りながら苦しげに走る立川は必死の防戦を見せていたものの、ついに 81 周目のダブルヘアピン2つ目 でアウトから#100 RAYBRIG HSV-010 にオーバーテイクされてしまう。ラストラップを目前にしたトップ陥落に、 ピットのスタッフも声を失った。

 しかし、「このままでは格好悪くてピットに帰れない」とばかりに勝負を諦めなかった立川は、ラストラップのヘアピ ンで#100 RAYBRIG HSV-010 のインに飛び込み、トップを奪還することに成功する。

 予期せぬ大逆転劇にスタンドのファン以上に歓喜に沸く LEXUS TEAM ZENT CERUMO のピット。喜びに沸く その前を#38 ZENT CERUMO SC430 はトップで駆け抜け、劇的なポール・トゥ・ウインを達成することに。窓か ら右手を突き出し、ガッツポーズでウイニングランを終えた立川を高木監督、平手が出迎え、3 人は喜びの抱擁をかわす。

 こうして今季開幕戦を見事なポール・トゥ・ウインで飾 った LEXUS TEAM ZENT CERUMO。最高のシーズ ンスタートを切った#38 ZENT CERUMO SC430 に は、次戦富士で 40kg のウエイトが搭載されることとな ったが、今回のレース展開のようにそれを跳ね返して の上位入賞を期待したい。


2012年 SUPER GT 第1戦 OKAYAMA <決勝>ドライバー/立川 祐路
「ラスト 5 周でタイヤが厳しくなった上に、周回遅れとの巡り合わせが悪くて抜かれてしまったんですが、最後まで 諦めずにプッシュして本当に良かったです。この優勝はシーズンオフを通じて、クルマを仕上げるために頑張って 来たみんなのお陰だと思いますし、こうして開幕戦でポール・トゥ・ウインという結果を得られたことで、やってきたこ とが間違っていなかったということの証明にもなりました。次はウエイトを積みますが、舞台が得意の富士というこ とで充分戦えるはず。シリーズの流れを考えても今回優勝出来たということは非常に大きかったと思います。次の 富士でもたくさんポイントを獲って、良い形でシーズンを戦えるよう頑張ります!」

ドライバー/平手 晃平
「初めて GT500 でポールスタートを担当したのですが、自分が温まりの良いソフト系のタイヤを履いているのに対 し、他のマシンの何台かが硬めのタイヤを履いていることは分かっていましたので、そこを活かしてスタートで逃げ てやろうと考えていました。結果的にうまく行ったとは思います。ただ、気温が少し上がってしまったことで、予想よ りはタイヤの消耗が早かったかもしれません。23 号車に抜かれず、トップのまま立川さんに繋げていれば最高だ ったんですが、2 番手でも引き離されないよう頑張りました。後半は喜んだり、がっかりしたり、また喜んだりと、本 当に自分が乗っているよりもドキドキで疲れました(笑)。次の富士は昨年優勝していますしテストでも好調だった ので、表彰台はもちろん、連勝を狙いたいですね」

監督/高木虎之介
「スタートから 10 周ぐらいは平手も速かったですし、良く頑張ってくれたと思います。最終的に 23 号車に抜かれて しまいましたが、ちゃんとチームの予定通り 35 周を良い形で走り切ってくれました。残り周回を考えて、立川のステ ィントにはより硬めのタイヤを選んだのですが、最初少し引き離されたのは、たぶん立川がスティント前半はタイヤ をセーブしていたからじゃないでしょうか。いったんトップに立った後、タイヤもキツかったでしょうし、周回遅れとの 巡り合わせも悪く間合いを詰められて抜き返されてしまいましたが、最後はベテラン立川の駆け引きの上手さが出 ましたね。次戦の富士は 40kg 搭載しますが、それぐらい積んでいてもきっと表彰台あたりを争えるのではないか と思いますし、40kg 積んでどれだけポイントを稼げるか......。ある意味次の富士はチームにとって大きな勝負にな ると思いますね」